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完全保存版 就業規則の作成について

目次



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本サイトは、以下のような方におすすめです。また記載されている内容は、最後までお読み頂くことによって、就業規則の他、労務管理のポイントを把握できると思います。

・専門家に就業規則作成の依頼を検討されている方
・自社で就業規則を作成したいが、知識もないうえに作成ポイントが分からない方

次いで就業規則作成にあたり、どのような考え方ポイントをもって作成するべきかをお伝えします。もちろん、様々な考え方がありますので、全てが正しいというわけではありませんが、必ず参考になるかと思います。

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就業規則作成の考え方と心構え


①就業規則 「間違った認識」


現在は分かりませんが、ひと昔前は就業規則を作成すると、「会社にとって不利益をこうむる可能性があるから作成しない方が良い」といった誤った認識がありました。


そのような認識を持っている方々に、どのようにしてその認識を持ったのかと理由を聞いて見ると、知り合いの経営者や知人に聞いたなどの意見がほとんどでした。


ことの真意を簡単にいえば、法律どおりの就業規則を作成することによって、法律にがんじがらめにされて、従業員の権利を確保しなければならないとの認識があった為、ネガティブ意識が広がっていたのです。


とある専門家が杓子定規で法律どおりの一辺倒な内容で1から10まで就業規則を作成することにより、このような認識をもってしまっていたのが実情です。


では就業規則の作成をどのように捉えるべきでしょうか。

②就業規則 「作成の心構え」


就業規則の作成は法律どおりに、がんじがらめに規定を盛り込みリスクヘッジのための就業規則にすることは、お勧めできません。なにより、自社を活性化させるためのポジティブな就業規則を作成した方が良いと思います。


一般的に就業規則は従業員を取り締まり、問題のある言動等を行った際の取り締まり規程のように捉えられている方が多数いらっしゃいます。問題が起きてしまった場合に「イケないよ、ダメだよ、罰則だよ」と問題のある言動に対して制御するための道具では、従業員の働く意欲を削いでしまいます


従業員に業務の成果を着実に成し遂げてもらい、会社業績の発展に大きく貢献してもらうためには、いかにして業務の成果における評価を明確に行うかがポイントだと思います。

その為には、まず最低限の会社のルールブックがなれば話になりません。就業規則の導入は、結果として従業員の働く士気を高め、労働生産性の向上につながる最初の切り札だと思います。


逆に就業規則がない場合の懸念点としてはコンプライアンスがないがしろになってしまう可能性が高く、「劣悪な労働環境だな」と従業員が捉えてしまう場合が考えられます。

その場合、直接、経営者に伝えてくることはありませんが、ネット上で法令などの正しい情報を調べることは容易に行えますので、正しい情報を得た結果、会社を辞めるなどの離職者増加や従業員の働く意欲の低下につながり、労働生産性が下がることとなります。


経営者の中には権利主張ばかりする従業員なんかはいらないと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、実は逆です。経営者が積極的に労働環境を整備し、従業員に明示することによって優秀な従業員は永続的についてこようとするものです。


勿論、仕事もしないで権利主張ばかりする従業員も中にはいると思いますが、そのような従業員は、活性化する組織の中では、そのうち仕事についていけなくなり自ら辞めていきます。


経営者が最低限の労務管理事項を明示し、労働環境を整えた上で業務命令を毅然と行えば、目先のことにとらわれず士気高く業務に励んでくれる優秀な従業員活性化してくれます。


経営者がしっかりと従業員たちのことを考えた言動をすれば、従業員たちも経営者のことを考えた言動で業務に励んでいき相乗効果が生まれるものです。

机上の空論かもしれませんが、実際に最近の経営者の方々はそのようなスタンスでしっかりと事業を営み、成功されている方が多々いらっしゃいます。

③就業規則 「作成の考え方」


自社の実態にあった就業規則を作成することが大切です。

就業規則には、絶対的明示事項と言われる最低限に記さなければならない事項があります。その事項を就業規則に明記しつつ、各条文規定で自社のケースバイケースを考えながら

本当に記載が必要かどうかを判断しながら就業規則に盛り込んでいくことが大切です。


私はこのケースバイケースを一緒に考えられることが専門家としての力量になってくるのではないかと考えています。ケースバイケースを考えないで法律の規定ばかりを盛り込んでも就業規則は実際に機能をせず、就業規則の運用自体も疎かになり、結果として従業員権利の法令をそのまま周知させるだけのものになってしまいます。これではせっかく作った就業規則も意味がありません。


また昨今で流行っている助成金についても自社の就業規則をもとに採択が行われる場合は多くあるため、目先のお金に走り、助成金をとることを目的として作成された就業規則は後々、多くの失敗が生じるケースがあるので注意が必要です。


実際に労務管理の実態と就業規則や賃金規程の内容が違っているケースなどで、助成金の不正受給や返還命令などの告発を受けている会社もあります。残業代の管理についても指摘を受けて未払いの残業代を追って払った会社もあります。


就業規則の作成の責任を負うのは自社です。


第三者や専門家が介在しても正しく作成をしておかないと上手く機能はしません。そんな実態に則さない就業規則は無いも同然です。むしろデメリットの方が多いです。


法令では10名以上の労働者がいる場合は、就業規則の作成届出の義務を課しています。

届出の際は、記録文書となるので、上記の前提をしっかり踏まえた上で就業規則を作成することをおすすめします。

就業規則作成のポイント

①就業規則 「就業規則の作成ルール」


ここでは就業規則を作成する上で必然的なルールをお伝えします。

まず法令上、就業規則を作成するときは絶対的明示事項相対的明示事項という2種類の事項を盛り込むこととなっています。

これは法令上、絶対に盛り込まなければならない内容とルールがあるなら盛り込んでくださいとの意味です。


次に就業規則の根本的な法令である労働基準法等就業規則の規程集とのパワーバランスをお伝えします。簡単にいうと下記です。


Aの場合  労働基準法 > 労働協約 > 就業規則 > 雇用契約書 最低 補償

Bの場合  労働基準法 < 労働協約 < 就業規則 < 雇用契約書 最高 補償


<解説>

例えば、法令基準の有給休暇の付与日数で考えてみますと法律では既定の年次有給休暇付与日数は、諸条件にもよりますが、一般的に入社から半年で10日とされています。


Aの場合に、労働基準法で10日、労働協約で9日、就業規則で8日、雇用契約書で7日と定めたとします。しかし、自動的に労働基準法の10日が適用されることとなるのです。


他にも労働基準法に記されている水準よりも下位の水準の就業規則や雇用契約書を作成した場合、労働基準法に満たない部分は、全て労働基準法のとおりとされてしまいます。


もっと簡単にいうと就業規則雇用契約書がなくとも労働基準法は労働者(労働の対償として賃金が払われる者)の該当者がいれば、必然的に労働基準法の水準により従業員は常に守られている状態となっているのです。

一方でBの場合は、労働基準法で10日、労働協約で11日、就業規則で12日、雇用契約書で13日と定めたとします。この場合は、雇用契約書の13日が適用されることとなります。


したがって、労働者の優位に定めた内容は、そのまま適用をし続けることとなります。

また就業規則や雇用契約書に一度、定めてしまうと簡単に水準を下げることはできないので注意が必要です。

例え、水準を下げることができても労働者から撤回の要請があれば、基本的には元の高い水準での就業規則の運用を強いられることとなりますので、この効力の作用は知っておいた方が良いです。

② 就業規則 「呼称はなく労働者」


ここでは皆さんが良く使う従業員の呼び方の表現について解説をします。


まず労働基準法では正社員、正規従業員、アルバイト、パートといった言葉はありません。これは世の中の慣行が作りだしている言葉に過ぎないのです。したがって、これからは 全て労働者と位置付けてください。


労働者の定義は、事業又は事業所に使用され、賃金を支払われる者です。もう少し簡単に言うと労働をした対償として賃金が支払われる者を指します。


従って正社員、短時間正社員、準正社員、契約社員、パート、アルバイト、嘱託社員などの表現を問わず労働者と言います。


なぜ、これを先にお伝えしたかというと、経営者の中には、うちはまだバイトしかいないから、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金は適用しなくとも良い、残業代は払わなくとも良い、休日割増や有休は与えなくとも良い、なんていう方がいたりします。


また正社員はちゃんと補償を行い、バイトは補償しなくとも良いといった考え方が何故か生まれてしまっているのです。

(従業員の方々へのこれらの保険適用は、各法令によって定めが違ってきますので、こちらは別途、解説を行うこととします。)


就業規則作成や労務管理の上では、従業員を正社員、バイトと呼ぶ考え方があると困惑の材料となってしまうため、まずは労働した人に賃金を支払う人を全て労働者と呼び、正社員、バイトなどといった言葉は、存在しないと考えて頂いた方がシンプルで分かりやすいと思います。


もし、正社員という定義が必要な場合は、就業規則作成において、まずは労働者としてすべての方が就業規則の適用を受ける状態にした後に、正社員と正社員以外の待遇の区分けを明確にすることで定義づけすることができます。


最低限の労働基準法に則するならば、全ての労働者という表現で、ことが足りてしまうわけですが、様々な会社の都合上などで待遇の区分けが必要な場合は、労働基準法に抵触しない範囲で呼称のカテゴリー分けを行い、各カテゴリーでの待遇の明確化を記してください。

③就業規則 「契約期間」


ここでは労働者の契約期間について解説をします。


労働者の中では肩書や呼称はあまり重要でないと②就業規則「呼称はなく労働者」で記載をしたと思いますが、実はこの労働契約の期間の有無については、少し事情が違ってきます。


従って②就業規則「呼称はなく労働者」に記載がある「契約社員」については、少し、法令上での定めが出てきますので、そのあたりを詳細にお伝えします。


まず、雇用契約には期間の定めのある契約期間の定めのない契約が存在します。


次に、用途は一概に言えませんが、期間の定めのある契約をする場合は、下記のルールがありますので、留意する必要があります。


A 一度に契約できる雇用期間は3年、60歳以上や法律に定めのある職種の方は5年。

B 契約更新で5年を超えた方は、申出をすると期間の定めのない契約へと切替可能。

C 1年を超えてからの雇用契約の更新を止める場合と1年以内であっても契約更新が3回なされている状態での更新を止める場合は、労働者の申出があれば雇止め理由書が必要になってくる。(雇止め理由書については、期間雇用の濫用の防止が目的とされています。)


また雇用期間の有無の対象者は、正社員や正社員以外を問わず、全ての労働者に適用できる契約形態となっています。月給者と時給者でも同様に雇用期間の有無の設定は可能です。(月給者と時給者の違いは、別途、⑨就業規則「月給者と時給者」で解説します。)

④就業規則 「期間雇用と試用期間」


ここでは試用期間について解説をします。

よくあるのが期間雇用試用期間を兼ねる方がいますが、これは絶対にやめてください。


※試用期間の定義

そもそも試用期間とは、期間の定めのない雇用契約において、雇い入れをしてから一定の期間、自社における 適材適所での職種や待遇などを見定める期間です。


よく試用期間だから、もしくは試用期間が終わったから解雇したという話を耳にしますが、これは不当解雇訴訟に発展するリスクがありますので、安易に解雇できるとは思わないでください。


解雇をする場合は、それなりの解雇の正当性が認められる状況でないと不当解雇で訴えられる可能性の方が大きいです。(解雇については、別途、⑯就業規則「退職と解雇」で解説をします。)


また期間雇用と試用期間を兼ねた場合は、無条件にそれは期間の定めのない雇用と解釈されやすくなりますので留意ください。

⑤就業規則 「労働時間と休日」


ここでは労働時間と休日について解説をします。(変則事項は除く)


A 労働時間

基本的に1日の労働時間は8時間1週間の労働時間は 40時間までが上限となります。


B 休日

1週に1日 もしくは4週に4日の休日が必要となります。


C 休憩時間

・労働時間が6時間以下の場合は、休憩時間を与えなくて良いです。

・労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分を与えます。

・労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間を与えます。

8時間ジャストの労働の場合は、45分の休憩で足りるということに留意してください。

D 労働基準法では、時間外労働は禁止とされています。

但し、36協定書の締結と届出を行うと書面に定めた時間の時間外労働が行えます。

(上限あり)


・労働者の就業時間の設定は、このABCDの範囲内で設定をする必要があります。

・但し、就業規則で定める前提と実態が違っていても問題はありません。

・法令上では就業時間の前提要件が必要になっているのです。


こんな場合はどうする?


事例1 E社の勤務実態 (36協定書が未届)

出社は9時、退社は18時、休憩は1時間 = 1日の所定労働時間は8時間。

出勤は、毎週月曜日~土曜日 = 1週の所定労働時間は48時間。

休日は、日曜日。


上記Bの休日の法令にはひっかかりませんが、上記Aの労働時間、1週に40時間の上限部分と上記Dの時間外労働の禁止の部分にひっかかりますので、E社が就業規則や雇用契約書、求人票などで、この勤務実態を設定することはできません。


この場合、どのような設定とするべきか。

(すべてではありませんが、意外と大手の求人会社や人材紹介会社も知りませんし、間違った設定を行ったりしています。よく求人会社の方へ、懇々と説明する機会があります。)


・まず36協定書の締結と届出を行い、時間外労働をするための環境を整えます。

・E社の場合、日曜日が1週間の始まりとして、所定の出勤日を月~金とします。

・土曜日については、時間外労働としていわゆる残業が朝の9時から18時(休憩除く)までつくということになります。(時間外労働の給与も含めた月給の設定は別途、解説します。)


事例2 F社の勤務実態 (36協定書が届出済)

出社は10時、退社は22時、休憩は1時間 = 1日の所定労働時間は11時間。

出勤は、1週に5日のシフト制 = 1週の所定労働時間は55時間。

休日は、1週に2日。


上記Bは、休日の法令にひっかかりませんが、上記Aの労働時間、1日に8時間、1週に40時間の上限部分にひっかかります。また上記Dの時間外労働の禁止の部分に直接はひっかかってきませんが、実態どおりに設定をすれば、結果として時間外労働の上限にひっかかってしまいますので、F社が就業規則や雇用契約書、求人票などで、この勤務実態を設定することはできません。


E社の場合は、36協定書の整備がないために、時間外労働の禁止の部分にひっかかると指摘をしましたが、F社の場合は、36協定書の整備があっても1ヶ月の時間外労働45時間の上限にひっかかってしまうため、それも踏まえた設定が必要となります。


F社の場合ですと1週の55時間労働から1週の法定時間40時間を引くと1週間で15時間が余ります。1ヶ月を4週間とみて、1ヶ月60時間の時間外労働が前提となってしまうわけです。


この場合、一つに特別条項付36協定書の締結という手段がありますが、これは繁忙期と閑散期により、時間外労働の時間が大幅に変動することに対しての特別策で、簡単にいうと一定の期間内であれば、特に忙しい時期に限り、1ヶ月の時間外労働の上限は45時間だけど、

特別に上限を超えて、時間外労働をさせていいよという特別な制度です。しかし、1年間毎月の上限を超えての設定はできないので、これも適用できません。


ではどうするべきでしょうか。


・出勤時間10時と退勤時間22時を変更する必要はありませんので、そのままです。

・休憩時間は8時間超えなので1時間となりますが、1日の労働時間にひっかかってしまうので、休憩時間を4時間の設定とします。


これら二つを設定して就業規則に記載をすれば、問題はありません。


但し、実際に時間外労働をさせる実態の部分では1ヶ月上限45時間以内に調整をする必要がありますが、厳密にいうと毎月45時間の時間外労働も法令にひっかかります。


というのも毎月連続で時間外労働を発生させていると時間外労働の上限も短くなってしまうからです。様々な要件がありますが、端的に1年間毎月時間外労働がある場合の1ヶ月の平均上限時間は30時間となります。


従ってF社の実際の労働実態で考えることは、従業員を1ヶ月30時間以内の時間外労働を前提に労働の管理をする必要があります。


まとめ


このように上記2つの会社にとって必要なことは、前提です。

就業時間の前提の設定が非常に重要です。


実態については、労務管理の上、法律にひっかからないように管理が必要になってきますが、まずは上記A~Dの大原則を踏まえて設定することが先決となります。

⑥就業規則 「休日」


ここでは休日ついて解説をします。


休日の設定には、以下のルールを踏まえてください。


A 休日とは、労働する義務がない日である。

B 休日には、法定休日(割増率35%)と法定外休日がある。

C 休日は、1週に1日もしくは4週に4日を与える必要がある。


A 休日とは、労働する義務がない日である。

就業規則の休日の項目に記した日は、全て労働義務のない日とされます。

これは特に時間外労働をした時の残業の計算に関係があります。

下記のD会社とE会社で比較をします。


D会社の場合

・休日は、土日祝日、夏期、年末年始とします。

・この時、合計の休日数が1年間で130日あるとします。

・1日の所定労働時間数は、8時間とします。


ある月に月給30万円の方が残業を30時間ほどしました。

この時の残業代の計算は、下記のとおりです。


365日(年間の歴日数)-130日(年間の休日数)=235日(年間の所定労働日数)

235日×8時間=1880時間(年間の所定労働時間数)

1880時間÷12ヶ月=156時間(1ヶ月あたりの所定労働時間数)


残業代の計算は

月給30万円÷156時間=1,923円(1ヶ月あたりの時給単価)

1,923円×1.25=約2,403円(1ヶ月あたりの時間外労働の時給単価)

約2403円×30時間(残業時間)=72,113円


よって月給30万円の方が残業を30時間した場合は

30万+72,090円=372,090円を支給することとなります。


E会社の場合

・休日は、土日とします。

・この時、合計の休日数が1年間で105日あるとします。

・1日の所定労働時間数は、8時間とします。


ある月に月給30万円の方が残業を30時間ほどしました。

この時の残業代の計算は、下記のとおりです。


365日(年間の歴日数)-105日(年間の休日数)=260日(年間の所定労働日数)

260日×8時間=2080時間(年間の所定労働時間数)

2080時間÷12ヶ月=173時間(1ヶ月あたりの所定労働時間数)

残業代の計算は

月給30万円÷173時間=約1,734円(1ヶ月あたりの時給単価)

約1,734円×1.25=約2,167円(1ヶ月あたりの時間外労働の時給単価)

約2,167円×30時間(残業時間)=65,029円


よって月給30万円の方が残業を30時間した場合は

30万+65,029円=365,029円を支給することとなります。


D社とE社の差額は7084円ですが、5人いれば35,420円、10人いれば70,840円が月額で違ってきます。ここに社会保険に加入をしていれば、4月~6月などの算定時期(年1回の社会保険料設定の時期)によっては、会社が負担する社会保険料が年間を通して 大幅に変わってくることも考えられます。


ここがポイント


E社の実態と従業員のことを考えて必然的ならば、このままで良いと思いますが、中には

祝日、夏期、年末年始の休日が不確定な会社も存在します。


その場合、わざわざ労働義務のない休日に設定をするのではなく、休暇という形式を取り入れると良いと思います。


休暇とは、労働義務のある日で会社を休んでも良い日となります。


本来、労働者は雇用契約に基づいて、健康に働ける状況においては、如何なる場合でも会社の業務指示に従い、労働する義務を負っているのです。

この休暇は、その労働する義務のある日特別に休んでも良いというものなのです。

またこの場合は、お給料を出しても出さなくても良いとされています。

実は、労働基準法は、ノーワークノーペイという原則があり、働いていない部分は、お給料を出す義務がないとしているのです。


従って、休日は土日、その他は休暇として扱い、お給料の有無は、その時の会社の判断で設定を行えば良いのです。


但し、経営者が本当は会社に出社して欲しくないと思っているのにもかかわらず、従業員が出社して業務をしていた場合に強制的な休みを強いると、休業命令として最低でも平均賃金の60%の支払い義務を負いますので、あくまでも実態に則した運用が良いと思います。


B 休日には、法定休日(割増率35%)と法定外休日がある。

C 休日は、1週に1日もしくは4週に4日を与える必要がある。

就業規則の休日の項目に、例えば土日と定めた場合は、以下のルールとなります。


・法定休日

これは法令上1週に1日若しくは4週に4日の休日を必ず定めるものです。

従って土日を休日とする場合は、どちらを法定休日と設定しても構いません。

法定休日 を仮に日曜日に設定し、その日に労働をした場合は、割増率が35% となります。1週間に1日の休日がある場合ですと、その日を法定休日としている場合もあります。

(この方法自体が適法か否かは、微妙なラインではありますが・・・)


・法定外休日

これは上記の法定休日以外の会社が定めた休日を指します。

法定外休日については、1週に所定労働時間の40時間を超えて時間外労働を行ったときに 25%の割増率が必要となります。良く勘違いされている方がいますが、休日出勤といって必ず時間外労働になるわけではありません。下記の場合は、休日出勤ですが、お給料に割増はおろか追加の給料も発生しません。


<事例>

・休日設定は、土日

・週の始まりが日曜日(特に指定がなければ原則となります。)

・所定出勤日が月~金


※ある週に月曜日はお休みをして、火曜日から出勤、土曜日も出勤の場合。

この場合、追加の給料や残業代など一切、支払う必要はありません。

なぜか休日手当を付けている会社がありますが、法律上はいりません。

⑦就業規則 「休暇」

ここでは休暇について解説をします。


休暇の設定には、以下のルールを踏まえる必要があります。

A 休暇とは、労働する義務がある日である。

B 休暇は、給料を出さなくて良い。

C 休暇には、様々に種類がある。

D 年次有給休暇は、給料を出す必要がある。


A 休暇とは、労働する義務がある日である。

B 休暇は、給料を出さなくて良い。


休暇 とは、休日と違い、労働義務がある日について特別に会社に許可 をもらい、本当は労働義務のある日ではありますが、業務を行わなくて良い日となります。

またノーワークノーペイの原則により、労働していない部分について、給料を支給しなくとも問題がありません。但し、会社が給料の支給を認めている時は、給料はもらえます。

C 休暇には、様々に種類がある。

D 年次有給休暇は、給料を出す必要がある。

休暇とは、以下のような種類があります。


・慶弔休暇(結婚式、お葬式などの場合)

法律上の定めは特になく、無給扱いでも問題がありません。

実態があり就業規則に明記すれば、当然、権利が発生します。


・育児・介護休業休暇(本人の請求に基づく)

育児介護休業法の定めに従って、本人の請求あれば、取得をさせます。

但し、無給扱いでも問題ありません。

就業規則に明記する必要がありますが、仮に明記がなくとも権利は発生します。


・子の看護休暇

法律上の定めに従って、本人の請求があれば、取得をさせます。

但し、無給扱いでも問題ありません。

就業規則に明記する必要がありますが、仮に明記がなくとも権利は発生します。


・生理休暇

法律上の定めに従って、本人の請求があれば、取得をさせます。

但し、無給扱いでも問題ありません。

就業規則に明記する必要がありますが、仮に明記がなくとも権利は発生します。


・年次有給休暇(法定義務)

法律上の定めに従って、本人の請求があれば取得をさせます。

就業規則に明記する必要がありますが、仮に明記がなくとも権利は発生します。

これについては、有給扱いとする必要があります。


皆さんが良く知っている有給とは、一般的にこの年次有給休暇のことを言っています。

発生要件は、入社から半年が経過すると10日、以後1年毎に11日、12日、14日、16日、18日、20日と毎年増加していきます。


但し、入社から半年の間と以後1年毎の間で本来、労働する日であった出勤日が80%を満たしていないと権利が発生しません ので、注意してください。


例えば、4月1日入社で半年間に出勤予定日が120日あったとします。

実際は90日しか出勤扱いとされなかった場合は、年次有給休暇は付与されません。

以後、1年間についても同様に所定出勤日の80%が出勤の扱いでなければ付与されません。

また時季指定権と時季変更権というものがあります。

これは年次有給休暇の取得時期について、業務の稼働状況を考慮する必要があるという意味があります。すなわち、繁忙期に労働者が一方的に年次有給休暇の取得時期を考えずに取得することは、一概にできない可能性があるということです。


その他、年次有給休暇を一斉に一律的に付与する制度や計画的に従業員の有給休暇を強制取得させてしまう制度などがありますが、これは各会社における労務管理上の都合により行ったりするので、原則的には、通常の運用で良いかと思います。


・比例付与の原則について

シンプルにいいますと、正社員でないアルバイトの方も年次有給休暇があるということです。

いわゆる有給が取得できる人は、皆さん、正社員だけと考えている方が多くいます。

この記事の冒頭にも記載しましたが、労働基準法は、労働者権利としての軸を労働日数や

時間数で判断しておりますので、正社員、バイトという判断は関係がないのです。


・通常の年次有給休暇がもらえる人

1週間に5日以上の勤務をしているか、1週間に30時間以上の勤務を常にしている人がもらえます。


・比例付与の原則で年次有給休暇がもらえる人

1週間に4日以下+1週間に30時間未満の勤務をすれば、法令に従ってもらえます。


インターネットなどで年次有給休暇や比例付与と検索を行えば、公官庁の案内が出てきますので、そちらにて日数を確認してください。


また、わざわざ就業規則年次有給休暇の日数で記載している方がいますが、比例付与の日数と同じく、公官庁の案内で確認ができますので、 記載をしなくとも問題はありません。

⑧就業規則 「振替休日と代替休日」

ここでは振替休日と代替休日について、解説します。


よく皆さんが使われている言葉で代休と言われていることを耳にします。

休みの日に仕事したから代休使って、「代休とっていいよ」なんて聞いたりします。

一方で振休使っていいよとは、あまり聞きません。


代替休日とは、休日のその日に仕事に出るなど、事前に休日に仕事があることが告げられず当日になるなどしてから休みを与えて会社を休んでもらうことを言います。


一方で振替休日とは、休日と所定の出勤日を置き換えて、事前に本人の承諾を得て会社を休んでもらうことを言います。


簡単にいうと代替休日は、法定休日割増が発生し、 振替休日法定休日割増が発生しません。

休日出勤の多くの場合、事前に予定を組むケースが多いと考えられるので、これからは振休という言葉を一般的にすると良いと思います。

⑨就業規則 「月給者と時給者」

ここでは月給者と時給者についての解説をします。


まず多くの方は、正社員だから月給者、バイトだから時給者という考え方をしている場合があります。②就業規則「呼称ではなく労働者」でもお伝えした通り、法律上、このような考え方は当然ありません。


月給者と時給者の簡単な説明をしますと下記となります。


・月給者とは

1ヶ月間、働いてもらえれば、1か月分まとめて給料を渡しますと約束をした人。


・時給者とは

1時間、働いてもらえれば、1時間分の給与を渡しますと約束した人。

(但し、まとめて1ヶ月に1回で給与は渡します。)


これがシンプルな解釈です。


従って正社員とバイトという概念で月給者、時給者というものがあるわけではないので、今後は上記のようにシンプルに考えると良いと思います。


但し、月給者については、以下の場合を考慮する必要があります。


例えば(有給も傷病手当金も休業手当もない場合)

月給20万の方が会社を5日休んだとします。

この時の1ヶ月の暦歴日30日間。所定出勤日は20日間とします。


時給者の場合は、時給1000円×1ヶ月の労働時間数=1か月分の給料となりますが

この月給者の場合は、20万円を30日間で割るのか、その月の出勤日20日間で割るのか

実は明確なルールはありません。30日間で割れば、1日あたりの単価が約6666円で

20日間で割れば1日あたりの単価が1万円となります。


月給者の場合は、給料計算の時にこのような場合を想定して、どのような欠勤控除のルールを引いておくべきかを事前に準備しておく必要があります。

また法律上は全ての労働者に1時間あたりの時間給を労働給としており、例年10月1日に最低賃金が上がる場合は、この1時間あたりの労働給を下回らないような設定が必要とされています。

⑩就業規則 「管理職と役職手当」

ここでは管理職と役職手当について解説をします。


一般的に管理職だから残業代は払わなくてよい、なんて聞いたことありませんか。

ニュースなどでも何度か語られていると思いますが、ここでは正しい知識をお伝えします。

単に管理職といっても漠然としていますので、ここでは2つに分けてお伝えします。


・法的に認められる管理監督者とは、一定の裁量権が与えられている者を指します。


具体的には、下記3つの要件を満たす必要があります。

・出社時刻や退社時刻など、勤務時間に関する管理が自己の裁量に任されていること。

・採用に関する事項についても、人事権を有し、採択ができる立場であること。

・管理監督者たる手当が支給されていること。


でも実際、法的に認められた管理職か否かは、いつ判断されると思いますか。


その多くは事件や事故、トラブルや問題が発生した際に、その時の状況の判断で該当者が管理監督者であったか否かが分かるようになります。


従って、名ばかり管理職として、残業代などの未払いの事件に浮上するのは、この管理監督者の要件が確かであるか以前に、肩書だけ付けておけば、残業代を払わなくて良いとの判断でいるがために、問題となってしまう場合があるわけです。

(※ちなみに管理監督者でも深夜割増該当 しますので注意してください。)


・役職手当がついている管理職

私的な意見ですが、役職手当は社内組織で業務遂行円滑にするための職責を明確にする為の呼び名であると考えています。

ピラミッド型の組織では、業務の職責に従って、指揮管理をする者がいなければ、なかなか集団をまとめていくことは難しいため、あえて課長や部長などといった役職を付けることで組織の統制を図り、業務の合理化と効率化を実現させているのではないかと思います。


これもある意味、管理職です。


しかし法令上では関係がなく、前述した裁量権が与えられた管理監督者が法的な管理職となりますので  役職手当 = 管理監督者でないことに注意ください。


また手当の付け方として、上記の要件を満たしている上で管理監督者の手当+部長の役職手当の場合や部長の役職手当=管理監督者の手当と明記してあげれば、管理監督者の支給手当の付け方の要件は満たしていると思います。


賃金規程などで役職手当などの明記がない場合で管理監督者のみの手当を支給する場合は、管理職手当などと明記し、就業規則に設定すると良いと思います。

⑪就業規則 「残業代と割増」

ここでは残業代と割増について解説をします。


まず残業や割増の種類は以下のようなっています。


前提として

1日に8時間と1週間に40時間までは、割増がかかりません。

また夜10時から朝5時までは、深夜の割増がかかります。


・法定内労働での残業(1日の場合)

例えば、朝9時から始まり、昼休憩1時間を経て、夕方5時に終了の会社があるとします。

ある日、夕方の6時まで仕事をしました。この超えた1時間分が残業です。

この1時間の残業を時給単価の1.25倍とする方がいますが、間違っています。

この場合は、1時間の時給単価の1倍として残業代を払えば大丈夫です。


・法定外労働での割増残業(1日の場合)

例えば、朝9時から始まり、昼休憩1時間を経て、夕方6時に終了の会社があるとします。

ある日、夕方の7時まで仕事をしました。この超えた1時間分が割増残業です。

この1時間の割増残業は、時給単価の1.25倍として割増残業代を払います。


・法定内労働での残業(1週間の場合)

例えば、朝9時から始まり、昼休憩1時間を経て、夕方6時に終了の会社があるとします。

土日が休みで毎日残業はなく、月曜日から金曜日までが出勤の会社があるとします。

ある日、月曜日は休み、火曜日から土曜日まで仕事をしました。

この超えた1日分(土曜日)の労働時間は、残業にも休日労働にもなりません。


・法定外労働での割増残業(1週間の場合)

例えば、朝9時から始まり、昼休憩1時間を経て、夕方6時に終了の会社があるとします。

土日が休みで毎日残業はなく、月曜日から金曜日までが出勤の会社があるとします。

ある日、月曜日から土曜日まで仕事をしました。

この超えた1日分(土曜日)の労働時間は、割増残業となります。

この場合の土曜日は、朝9時から残業開始で夕方6時まで残業です。(休憩時間は除く)

この土曜日の割増残業代は、朝から1時間あたりの時給単価を1.25倍として払います。


・法定外労働での割増残業(1週間の場合)その②

例えば、朝9時から始まり、昼休憩1時間を経て、夕方6時に終了の会社があるとします。

土日が休みで毎日残業はなく、月曜日から金曜日までが出勤の会社があるとします。

ある日、月曜日から日曜日まで仕事をしました。

この超えた2日分(土日)の労働時間は、割増残業となります。

この場合の土曜日は、朝9時から残業開始で夕方6時まで残業です。(休憩時間を除く)

この土曜日の割増残業代は、朝から1時間あたりの時給単価を1.25倍として払います。

次に日曜日も朝9時から残業開始で夕方6時まで残業です。(休憩時間を除く)

この日曜日(法定休日の場合)の休日割増残業代は、朝から1時間あたりの時給単価を1.35倍として払います。


・深夜労働での割増(原則、夜10時~朝5時は25%割増)

例えば、夜9時から始まり、休憩1時間を経て、朝6時に終了の会社があるとします。

この場合は、夜10時から(休憩時間を除く)朝5時までの6時間分が深夜割増となります。

この割増は、時給単価の25%を深夜割増として払います。


・法定外労働での残業+深夜労働での割増(原則、夜10時~朝5時は25%割増)

例えば、朝9時から始まり、休憩1時間を経て、夕方6時で終了するところ、翌朝6時に業務を終了したとします。

この場合は、朝9時から(休憩1時間を経て)夕方6時までが通常業務となります。

次に夕方6時から翌朝6時までが、時給単価の1.25倍の割増残業となります。

さらには、夜10時から翌朝5時までは、時給単価の0.25倍の深夜割増が追加となります。


ここがポイント


いずれも給与計算の上で混乱しやすいので、法定内外の残業を時給単価の1倍とし、法定外の残業割増を0.25倍休日割増を0.35倍深夜の該当割増を0.25倍分けて設定した方が合理的だと思います。

多くの方が一律1.25倍としている場合があるので、多めに残業代を支給しているケースがほとんどです。

また給与計算ソフトは、このような考え方に対応していない場合もある ので、システムへの入力と設定時には、注意が必要です。

⑫就業規則 「固定残業代」

ここでは固定残業代について解説をします。


※残業代を払うことを防ぐために固定残業代なる文言を入れて、残業代を払わなくする問題が多く発生し、問題となったのは何故でしょうか。


それは固定残業代として一定の時間数分の金額を支給しておけば、残業代を払っているのだから残業代未払いにはならないと考えているからでした。


この考え方は、間違っていません。


ですが、労働基準法の見られ方と実際の運用の仕方が分かっていないと問題とされます。


ではどうすれば良いのでしょうか。


※先ず固定残業代は、固定時間外手当として、下記のように設定します。


・就業規則などで定めた1年における所定労働時間数と休日数を基に月給者の残業代単価を割り出します。


<事例①>

休日=土日、始業=9時、終業=18時、休憩=1時間、月給30万で

1ヶ月30時間分の残業代を固定時間外手当として支給したい場合。


1日8時間労働×5日=1週40時間労働

1週40時間労働×52週(年間)=1年2080時間労働

2080時間÷12ヶ月=173.3333時間(1ヶ月あたりの所定労働時間数)


月給30万÷173時間=約1734円(時給単価)

約1734円×1.25倍=約2167円(残業代の時給単価)

約2167円×30時間=65029円(固定時間外手当)← 月給30万に追加する。


<事例②>

休日=土日、始業=9時、就業=18時、休憩=1時間、月給30万で

1ヶ月30時間分の残業代を最初から月給の総額で固定時間外手当として支給したい場合。


1日8時間労働×5日=1週40時間労働

1週40時間労働×52週(年間)=1年2080時間労働

2080時間÷12ヶ月=173.3333時間(1ヶ月あたりの所定労働時間数)


月給24.6万÷173時間=約1421円(時給単価)

約1421円×1.25倍=約1777円(残業代の時給単価)

約1777円×30時間=53324円(固定時間外手当)← 月給24.6万に追加する。

この場合は、基本給24.6万+固定時間外手当54000円で合計30万円とします。


ここがポイント


・事例①②のいずれも固定時間外手当に何時間分の時間外が入っているか、賃金台帳賃金明細、雇用契約書に明記していること。


・キリの良い数字で固定時間外手当を入れる時は時間相当分以上の金額設定はしないこと。


・固定時間外の金額以上に残業が行われないよう、労務管理を徹底するか、超える場合は事前に会社側の許可を取るような仕組みを整備しておくこと。


いずれの要件も満たしている上で、おおむね固定時間外手当の適用の運用ができます。

また管理が手間だと考える場合は、闇雲に設定しない方が良いと思います。

既に労働基準監督署は、未払い残業の手口が分かっていますので、注意ください。

⑬就業規則 「遅刻、早退」

ここでは遅刻、早退の取り扱いについて解説をします。


基本的にはノーワークノーペイの原則として、労働していない部分は分単位で給与から

差し引いて良いということになっていますので、月給者の場合など1日において働かなくてはならない時間数分に1分でも満たない時間分は給与から減額されることとなります。

下記は、ある会社で従業員が遅刻してきた場合にペナルティを踏まえて給与カットとした間違えたやり方を取り上げています。


<事例①> 所定の出社時刻9時 ~ 退社時刻18時(休憩1時間)

寝坊して10時に出社してきた労働者に午前中の給料を全てカットしてしまった。

このように会社側がペナルティとして処理をすることは、完全にアウトです。


ではこのような場合は、どのように処理をするべきか。


ノーワークノーペイの原則により1時間分の働いていない部分の給与を差し引くことは大丈夫ですが、他の2時間については労働しているならば、給与カットをせずに支給し、別途、減給制裁として給与からペナルティ分を差し引くという形式が良いと思います。

また減給制裁を行う場合などは、事前に就業規則の中に懲戒や制裁などの記載をしておく必要もありますので、併せて準備をしておくと良いと思います。

さらに制裁については段階的に制裁ランクを上げていくことが望ましいので、いきなり減給制裁をするなどとはしない方が良いと考えられます。

※段階的とは、遅刻をしたからといって、いきなり減給制裁を行うのではなく、譴責や戒告など口頭などの注意を再三した後に減給制裁を行った方が望ましいということです。

同様に1時間までの遅刻なら給料から控除をしないが2時間遅刻した場合は、午前中の給料をカットするようなケースも上記と同じことですので、注意ください。

⑭就業規則「出勤記録」

ここでは出勤記録の取り扱いについて解説をします。


出勤簿は、法定三台帳の一つとして、原則的に備え付けることが義務とされており、その他の法定三台帳は、労働者名簿賃金台帳を指しています。

この出勤簿は、時間管理をするというより出勤しているかどうかなどの事実確認を行うことが必要であるとの解釈です。


但し、たまにいきなり行われます労働条件明示調査など、労働基準監督署の調査などがあった場合は、ほとんどと言ってよいほど1ヶ月における働く予定の労働時間数(所定労働時間数)、実際に何時間働いたかの労働時間数(総労働時間数)、1ヶ月における時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数等を出勤簿に明記をするようにと必ず指導されますので、日頃から明確に各労働時間数の 明記と管理を行っておく必要があると言えます。くれぐれも出勤簿がないと言わないようにお願いします。備え付けが義務なので無いでは通らないので注意をしてください。

⑮就業規則 「裁量労働制と変形労働時間制」

ここでは裁量労働制と変形労働時間制について解説をします。


前提として考えて頂きたいことがあります。それはやたらと裁量労働制と変形労働時間制の制度を設定している場合が多くみられ、結果として無駄というより損失が出る可能性があるということを理解して頂きたいということです。


多くの場合、実態として本当に望ましい場合などを除けば、管理がしづらくなります。

法律という知識と業務の実態の両方が的確に理解されていないと労働基準監督署の調査や労働者からの申出の際に、今までの制度導入は全て無効とされ、遡って本来の通常の労働時間数に従った残業代を払う命令や勧告などが出され、想定外の出費を負う可能性があるので気を付けてください。


・裁量労働制の分類

A専門型裁量労働制(協定書必要)

B企画型裁量労働制(協定書必要)


A 専門型裁量労働制

これは専門型裁量労働をしても良いとされている法律で決まっている職種であれば、導入が出来ます。1日の働く時間帯は、本人の自由な意思により働ける制度です。例えば、デザイナーやシステムエンジニアなど労働時間でしばってしますと生産性の低下が考えれるような職種が該当します。実際には、1日における労働時間数を事前に取り決めておいて、その時間数を働いたとみなす制度です。また明らかなに残業があると見込まれる場合には、その時間数分の残業代を払う必要はあります。


B 企画型裁量労働制

これは自社に関することで調査分析など、一定の業務がある場合に適用が認められます。

例えば、残業代を減らすためには、どのようなことの業務を削減するべきか。残業代を削減できる会社はどのようなことに取り組んでいるか。など自社内の改善に向けて、調査分析などを行ったり、特別にプロジェクト化をしたり、一定の業務を行っていく上で労働時間の算定が難しいような場合に、従業員側の裁量により労働時間管理をしてもらう制度です。


ここがポイント


中小企業などで取り入れやすい制度は、Aの専門型裁量労働制です。該当する職種があれば

制度導入を行っても良いと思います。時間に縛られない働きやすい環境を整えることが可能です。

但し、明らかな残業が見込まれる場合は、残業代の支給を考慮する必要があるので注意して下さい。はじめにもお伝えしたように 法律の知識と実態が合っていないと多くの未払い残業代を払う必要が出てきてしまいます。


変形労働時間制の分類

Cフレックスタイム制

D1ヶ月変形労働時間制

E1年の変形労働時間制

F1週間の非定型的変形労働時間制


Cフレックスタイム制

従業員側に出社時刻と退社時刻を設定してもらう制度です。また会社側が従業員に労働してもらいたい時間帯がある場合は、コアタイムの設定が必要です。さらには従業員に労働することができる時間帯の設定をする場合は、フレキシブルタイムの設定を行うことが必要となります。

このフレックスタイム制についても実際とあっていないにもかかわらず、運用をしている場合が多く存在します。まずフレックスタイム制を導入しなくとも出勤と退勤の時刻を変動させることによって働いてもらう時間の変更は可能となります。


会社がこの制度を導入する場合は、実際として該当する従業員が毎日、所定の出社時刻と退社時刻に来てもらう必要がないと本当に思っていることが重要です。次に制度の管理の手間と従業員の業務の効率を比べた場合に、どちらが良いかを実態で判断した方が良いと思います。


まず通常の始業と終業時刻で働いてもらいたいと会社が考えているにもかかわらず、フレックスタイム制を導入すれば、制度管理の手間だけが当然に上がるということです。

また通常の始業と終業時刻で働かなくてはならないルールでも 就業規則などで時と場合によって変更と変動を認めるなどの内容が記載されているのであれば、それで十分だと思います。


D 1ヶ月変形労働時間制

E 1年の変形労働時間制

F 1週間の非定型的変形労働時間制


D、E、Fの変形労働時間制を導入する場合は、あらかじめ決めた労働する日と時間の通りに労働する必要があります。また 期間内で繁忙日と閑散日が特定される場合 (百貨店、生産工場等)などが導入に適していると思います。但し、あらかじめ労働すると決めた日や時間に変更があった場合、 予定通りに働かなかった場合には、通常の割増残業の計算 が必要になってしまいますので、実態に合わないことが多い場合は、導入をやめた方が良いと思います。


他にも変形労働時間制があれば、通常の1日における始業と終業の時間の設定を行わなくとも良いと考えたり、変形労働時間制を導入すれば、残業代を払わなくても良いと解釈をされたり、所定の休日数を考えずに変形労働時間制を設定したりと専門家がいたとしても、整合性が保ててなかったり、間違っていたり、実際と合っていないことがありますので注意してください。


ここがポイント


・変形労働時間制を採用する場合は、先ず、通常の自社の1日における所定労働時間数や業務開始時刻、業務終了時刻を実際に合わせて正しく設定すること。

・自社の年間休日数や所定休日を正しく理解し、設定を行い、正しい割増計算ができること。

・法律に定められている変形労働時間制を導入しても実態が合っていなければ全く意味がなく、追加の残業代などを払う可能性がでてくる理解をしていること。


最低限、これら3つのことがしっかりと理解された上で制度の導入をおすすめします。



就業規則 みなし労働時間制

専門型裁量労働制と似ている制度なので、少し解説をします。


この制度は出張や直行、直帰などが多い職種の方々を対象に1日における働く時間数が分かりづらい場合は、この制度により1日にあらかじめ決めた時間を働いたことにするという制度です。


但し、電話やSNSを使って、上司や会社の人が外にいる従業員に対して、常に業務内容の報告を求めるなど、時間を管理している状態ですと適用ができません。外にいるけど業務開始時や終了時には、必ず上司や会社へ連絡させることや、業務終了後に一度、会社に戻ってきて業務などを行う場合が多くある場合は、この制度の運用はしづらいと思います。またずっと外にいれば残業代を払わなくても良いという考え方も間違っており、明らかに残業が必要となる業務についている場合は、残業代も含めた設定とする必要がありますので、注意してください。

⑯就業規則 「退職と解雇」

ここでは退職と解雇について解説をします。

退職や解雇の形態は様々にありますが、基本的な考え方のみをお伝えします。

退職と聞くと自己都合退職と会社都合退職が思い当たるかと思います。自己都合退職14日前までに会社に申出を行い、退職届を提出すれば成立します。


一般的に就業規則や雇用契約書に退職の申出は1か月前と書かれていることが多いと思いますが、 法令上は14日前で良いとされています。


会社側が就業規則などに1ヶ月前と明記し、従業員が同意をしているのであれば、それはそれで問題ありません。


しかし14日前の退職の申出は、法令で認められているので、強行されても文句は言えないということです。


では引き継ぎなどをしっかりと行わずに強行的に退職をして会社に損害を与えた場合は、どうなってしまうのでしょうか。


ここがポイント


それは結果として実際に損をした分があるならば、従業員へ損害賠償を行ってしまって良い と思います。後で説明しますが、会社が従業員へ損害賠償することは法律上、認められている からです。但し、予め金額を決めた上での損害賠償の取り決めはできません ので注意が必要です。例えば会社の車を使用し、事故を起こしたら、5万円を払ってもらうような取り決めを事前にすることは禁止されています。


またこの他、退職届は必ず提出してもらった方が良いと思います。後になって解雇されたというような人が出てきた場合、退職届がしっかり受理されていれば、不当解雇訴訟の防御策の一つとなります。実際に自ら辞めると退職していったにもかかわらず、後になって解雇されたといい、金銭の請求を行ってくる場合がありました。


次に会社都合退職ですが、これは大きく分けて2つのパターンがあります。

それは、退職勧奨と解雇 です。解雇は聞いたことがある言葉だと思いますが、退職勧奨はあまり聞き覚えがない言葉だと思います。


簡単に言うと退職勧奨は会社と従業員のお互いが合意した上での退職となり、解雇は会社の一方的に退職を強制するということです。

もう少し噛み砕いた言い方をすれば、退職勧奨は本人に選択肢があり、解雇は選択肢がないということです。


ここがポイント


退職勧奨は会社と従業員のお互いが会社都合による退職について、同意はしていますが、会社にとっては、会社都合による退職の扱いとして変わりありませんので、助成金等の種類によっては、支給制限を受ける対象となります。但し、解雇のように不当解雇訴訟に発展することはないので、これについてはリスクが軽減されると思います。


助成金の支給制限は種類によって様々な制限を受けますので、一言ではお伝え出来ませんが、会社側の都合による従業員の退職については、一定の制限を受け、本来、取れるべき助成金が受け取れない、若しくは返金するなどという場合もあるので、日頃から気を付けて頂く必要があります。もちろん、解雇を行った場合でも同様です。


一方で解雇は会社都合による一方的な労働契約の解除となります。もちろん、解雇も正当性が認められれば無事に解雇は成立しますが、一度、正当性が不当であると解雇の撤回を従業員側に求められ始めると非常に厄介な問題となります。問題がこじれると最終的には不当解雇訴訟となり、時間と費用を大きく費やす結果となります。それこそ助成金の支給制限を受けるどころではなくなってしまいますので、慎重な判断が必要となってきます。


またこのような解雇が正当として認められるには、先ず就業規則などで、どのようなことを行うと解雇になるのか、違反行為があったり、業務命令に背いたり、再三の注意や指導を会社はしっかりと行っていたかどうかなど も問われてきますので、簡単に解雇を行うということは、実際の労務管理では得策ではないと言えます。明らかな場合を除き、解雇という言葉を簡単に使うと問題になりやすいので、できるだけ会社と従業員のお互いの同意がとれる退職勧奨となる話し合いをすることが望ましいと言えます。

⑰就業規則 「即時解雇」

ここでは即時解雇について解説をします。


⑯就業規則「退職と解雇」でもお伝えしたように解雇は様々な段階を経てから行えるとお伝えしましたが、もう1つ間違った認識をされている場合があるので、お伝えします。


それは「1ヶ月分の賃金を払えば解雇ができる」という認識です。多かれ少なかれ、このような認識をして、解雇を実行し、不当解雇訴訟になった場合があります。解雇は社会通念上で明らかな不法行為等を除けば、段階を経た再三の教育と指導の上、行った方が良いものなので、1か月分の賃金を払っても解雇の正当性は認められません。
ではこの1か月分の賃金を払うという認識は、どういうことなのでしょうか。


それは即時解雇を行うときの場合です。 基本的に会社は従業員に対し解雇を行う場合は、解雇制限時を除き、解雇日より30日前までに解雇をしますということを予告する義務があります。理由は、いきなり職を失ってしまうと従業員が次の就職先などを見つける間もなく退職した場合に生活が困難となってしまいます。従って事前に30日前の解雇をする予告を行い、その間は通常通りに労働をしてもらい賃金を渡すというのが通常の解雇の方法となるのです。


これを予告と同時に会社を辞めてもらうことを即時解雇といいます。この場合は、平均賃金の30日分の給料を渡せば、通常の解雇と違い解雇日の日数の短縮ができるということです。また予告をして、30日のうち15日労働した時点で残りの15日の賃金を払っても良いとされています。

⑱就業規則 「兼業禁止」

ここでは兼業禁止について解説をします。


一般的に兼業禁止をしている会社は多いと思いますが理由はなぜでしょうか。 特にフルタイムや正社員とされている方は、就業規則の中にも副業をしてはいけないとの禁止項目が記載されている場合がほとんどです。


ちなみに法令上では兼業禁止に関する明確な法律はありませんので、会社が明確な定めをしていないのであれば、順守義務はありません。但し、本業に差し支えるという意味合いで一般的には兼業を禁止しているので、結果として大きな問題となり、本業に影響を及ぼすような場合は、会社と従業員の間でこじれる可能性があります。


近年では副業を認める会社や在宅ワークを推奨する会社が増加してきているので、将来に向けては兼業禁止に関する内容のハードルは下がってくると思います。


ここがポイント


フルタイムの労働者や正社員とされる方々に兼業禁止を適用させるのであれば、就業規則などで、しっかりと明確にしてください。法令上の定めは明確ではありませんが、副業を行うことで心身の疲労などが蓄積され、業務における機会損失や生産性の低下につながる可能性は十分に考えられます。未然にトラブル防止を行う意味でも兼業禁止のルールは必要だと言えます。

⑲就業規則 「競業避止義務」

ここでは競業避止義務について解説をします。


競業避止義務という言葉は、あまり聞きなれていないと思いますが、簡単にいうと在職中に同業他社で働くことや同業の独立を認めないということです。


もちろん退職後については、競業避止義務はなくなりますので、同様の独立を制約することは難しいと言えます。但し、抑止策として、就業規則上に記述をしても問題はありません。 事件となり問題となった場合に、その部分が無効とされるだけです。


また退職後においては、日本国憲法の職業選択の自由を奪うこととなりますので、原則はできませんが、例えば、退職後2年間においては一定の条件(退職金割増や一定のロイヤリティ)などを理由にお互いで内容の取り決めを行い同意している場合は有効だと言えます。

⑳就業規則 「損害賠償」

ここでは損害賠償について解説をします。


会社から従業員への損害賠償は認められていますが、事前に金額を決めての損害賠償は禁止されています。


例えば会社の車を従業員へ利用させている場合に従業員が車で衝突事故を起こし、会社の車両に損害を与えた場合は、「車両保険の免責額5万円を払ってもらう」などのようなことを事前に就業規則等に記載、または取り決めることは禁じられていますので、十分に気を付けて下さい。


ここがポイント


通常、会社から従業員へ損害賠償を行うという認識をもっている方は、あまり多くいません。

基本的に会社に損害を与えたり、備品を壊したりすれば、当然のごとく賠償してもらう必要があるわけですから、しっかりと就業規則等に明記し、従業員の規律を保つようにすると良いと言えます。


実際に賠償請求をするか否かは別問題としても損害を受けたら賠償されるという認識を持った上で日頃の業務に励んでもらった方が結果として、丁寧に業務をこなしてもらうことができると言えます。

㉑就業規則 「健康診断」

ここでは健康診断について解説をします。


まず健康診断を受診させることが会社の義務だと勘違いされている方が多くおります。


実は従業員へ健康診断を受けさせることが義務なのではなく、特例の場合を除き、安全配慮義務として、心身の衛生状態を客観的に把握する義務を課しているのです。


従って、健康診断を受診してもらい受信結果の記録保管をもって把握する という流れを作っておく必要があるわけです。時期については特例を除き、入社時と年に1回となります。


ここがポイント


費用については、原則、会社側に負担の義務はありませんが、仮に一斉に健康診断を受けさせるのであれば、税務上も福利厚生として認められ、また健康状態の把握義務も会社としては果たさなければならないので、会社負担で健康診断を受けさせることが良いと言えます。


尚、個別に本人がかかりつけの医師や独自の方法により健康診断等を受けてきたいと申し出てきた場合は、本人負担で受けてもらっても構いませんが、結果として会社が診断結果を保管するのであれば、社会通念上、必要な範囲内で健康診断料を負担しても良いと思います。


但し、業務の性質上必然的な特定職種や海外派遣者については、会社負担が原則となります。

例えば、現場工事で腰に振動が伝わるドリルを常に行う仕事であれば、当然に業務に必要な範囲での健康診断を行う必要がでてきますから、このような場合は会社で健康診断料を負担するべきだと思った方が良いと思います。


健康診断時の労働時間の適用についても触れておきます。

原則、労働時間外となりますので、給与を出さなくても問題ありません。もちろん労働時間として、給与を出しても問題ありませんが、継続的に労働時間とする場合は、今後、健康診断時は労働時間と判断されますので、留意してください。


また健康診断料の費用負担と同様に業務の性質上、必然的な特定職種や海外派遣者については、原則、労働時間となります。

㉒就業規則 「休職」

ここでは休職について解説をします。


休職とは会社には出勤していないが、会社に在籍している状態のことです。 様々な事情で休職となる場合がありますが、この取り決めは非常に重要です。


というのも従業員がやむを得ない事情で会社を休み続けている場合に、会社を一方的に辞めてもらうということができないからです。一方的に辞めさせる場合は、不当解雇として訴えられるリスクが生じます。またこの期間の社会保険料の会社負担分は永続的に払い続けなくてはなりません。


ここがポイント


このような場合に備えて就業規則上では、一定期間の労働がある者に応じて、休職期間を設けてもらい、その期間を経過した後、復帰や復職、自然退職などの的確な対応を進めていくことが必要となります。規定自体がないと永続的な問題となり、結果、トラブル事案になる場合がでてきてしまいますので、予め、準備が必要と言えます。


※各種保険について

ここでは就業規則とは関係ありませんが、労務管理に関する補足事項として各種保険の知識について、簡単に㉓~㉖で解説します。

㉓就業規則 「労災保険」

ここでは労災保険について解説をします。


労災保険は特例を除き、強制で加入をしなければならない国の保険制度です。

基本的に業務上の事故における補償を大きく分けて治療費、休業補償、障害補償、遺族補償など、手厚い補償を事業主の責任でしなければならないと法律で決められています。


またこの際の治療費などは、自由診療の為、健康保険や国民健康保険の3割負担の適用を受けることはできず、全額が事業主の負担となります。

しかし、莫大な費用がかかることから国は事業主へ労働者がいる場合の強制保険として

労災保険の加入を義務付けているわけです。


ここがポイント


業種業界にもよりますが、費用対効果で考えた場合の労災保険の保険料は民間の保険とは比べ物にならないほど割安です。よく民間の保険に入っているから労災保険に入らないという方がいますが、考えが逆です。


とうてい民間の保険レベルで国の労災保険を補償するなんてことは無理です。むしろ国の労災保険に入っていれば民間の保険には入らなくても良いといっても過言ではありません。もし民間の保険に加入するのであれば、国の労災保険を加入した後に入ってください。


民間の業務災害の労災保険も基本的には、国の労災認定の基準で適用をしていますので、国の労災を申請して補償がおりないのに、民間の業務災害保険で補償がされるということはあり得ません。専ら、労災申請をせずに会社の民間の傷害保険や医療保険で適用をさせている場合はあります。


※ちなみに労災認定がされている場合で労働者に労災補償がされた場合、国の労災保険に入っていなかった事業主は国から補償した分の請求がくる可能性があるということを覚えておいてください。労働者側は基本的に全額補償を先に国から受けられます。


㉔就業規則 「雇用保険」

ここでは雇用保険について解説をします。

雇用保険は31日以上且つ1週に20時間以上の労働者がいる場合昼間の学生を除き、適用者に加入をさせます。失業保険の適用を受けたり、教育訓練給付金を受けたり、労働者へのメリットが多いと思いますが、事業主についてもメリットは存在します。


それは助成金です。


厚生労働省管轄の労働者に対する助成金財源は、雇用保険料から捻出されています。

労務管理がしっかりされており、雇用保険社会保険適切に適用しているのであれば、随時、助成金を申請する機会があると思います。


ここがポイント


雇用保険は料率も安いので適切に加入しておいた方が良いです。 というのも雇用保険に入れるべき人が加入していない場合、通常、2年間を遡って加入するのですが、時には加入できる実態の証明ができれば、証明できるところまで遡りが特例で認められているので注意が必要です。


また少しズレはしますが、助成金の申請時に気を付けたいこととして、出勤簿と賃金台帳が添付義務とされる場合がほとんどです。ハローワークで提出した書類は労働局へと審査部門へ情報が開示されます。この際に未払いの割増賃金分などの指摘を受けると遡って残業代などを払う必要が出てきますので、併せて注意してください。


最近、目先のお金目当ての助成金専門の会社があったりしますが、デメリットもしっかりと聞いたうえで申請をしないと後でしっぺ返しが来ますので、十分に気を付けてください。

㉕就業規則 「健康保険」

ここでは健康保険について解説をします。


健康保険はいわゆる社会保険と言われるものです。一般には全国協会けんぽが運営をしております。他に組合管掌という全国協会けんぽより補償の厚い制度があります。但し、保険料の引き上げなど、賛否両論がありますので端的に有益であるとは思わないでください。


ここがポイント


現行で大きく違うこととすれば、国民健康保険との比較です。通常、私傷病で病気やケガをされた場合、国民健康保険ですと休業補償のような制度はありませんが、健康保険の場合は、休業補償(傷病手当金)として月給の3分の2(おおむね)が支給されます。


民間の保険で所得補償の保険に加入すると、ものすごく高い金額となりますが、この健康保険での所得補償制度としての傷病手当金については、ものすごく割安な保険と言えます。


会社からしてみれば、負担が大きく、労働者本人の払う金額と同じ金額を払う仕組みがあるので懸念されがちですが、基本的には諸条件を満たせば強制保険となりますので、予め経営資金の計画を立てた上で最初から加入をするとよいでしょう。


また近年の事業主や労働者の傾向を見ますと、最低限、社会保険適用をしている会社が当たり前であるという感覚がでてきていると思えます。多少、頭でっかち感ではあるものの、国の制度や自らの権利についての観点をしっかりともっている労働者の方が業務をこなす場面においても、ある程度、先行きを考えた行動ができる方が多いと言えます。


あまり好ましくない考え方は、目先の利益に捉われて加入しないか、業界や過去の考え方を誇示して加入されない場合です。法律通りにやらないので好ましくないというわけではなく、仕事や業務においても先を見据えての新たな判断が必要な場面で損失がでている可能性が高く、事業の発展性に乏しい傾向にあるため、好ましくないと表現しました。


現状維持を好まれる方もいますし、千差万別ではありますが、傾向を考慮すると上述のようなことが言えると思います。

㉖就業規則 「厚生年金」

ここでは厚生年金について解説をします。


簡単に厚生年金は、国民年金を含めて厚生年金といいます。

国民年金は一律に保険料を納め、一律に定額年金をもらう制度ですが、厚生年金は給与水準により、もらえる年金額や補償額が変わってきます。


特に障害を負った場合や死亡した場合の遺族補償が国民年金と大きく違います。

障害補償は障害の等級が3級や軽度の場合に補償されますし、遺族補償については、適用の範囲が広がり、手厚い補償が受けられます。


前述で民間の保険との費用対効果を記述しましたが、併せて比べ物にならないくらいの補償を受けることを可能とします。通常の老齢年金で言えば、厚生年金の方が個人年金の積み立てより、長生きすれば、よほど得があると思えます。


ここがポイント


会社からしてみれば、負担が大きく、労働者本人の払う金額と同じ金額を払う仕組みがあるので懸念されがちですが、基本的には諸条件を満たせば強制保険となりますので、予め経営資金の計画を立てた上で最初から加入をするとよいでしょう。


また近年の事業主や労働者の傾向を見ますと、最低限、社会保険適用をしている会社が当たり前であるという感覚がでてきていると思えます。多少、頭でっかち感はあるものの、国の制度や自らの権利についての観点をしっかりともっている方の方が業務をこなす場面についても、ある程度、先行きを考えた行動ができる方が多いと言えます。


あまり好ましくない考え方は、目先の利益に捉われて加入しないか、業界や過去の考え方を誇示して加入されない場合です。法律通りにやらないので好ましくないというわけではなく、仕事や業務においても先を見据えての新たな判断が必要な場面で損失がでている可能性が高く、事業の発展性に乏しい傾向にあるため、好ましくないと表現しました。


現状維持を好まれる方もいますし、千差万別ではありますが、傾向を考慮すると上述のようなことが言えると思います。

総括とまとめ

かなりの長文にわたり最後までお読み頂きまして、本当に有難うございました。 各会社さんにおいて、考え方や価値観は違うと思いますが、私がお伝えした内容は、事業経営をしていく上で、また従業員と共に会社を運営していく上で、業種業界を問わず、必ず共通として考えていかなければならない問題と考えております。 もし今後、機会がありましたら何なりと経営問題や労務問題の相談をして頂ければと思います。初回の相談より無料にて受けさせて頂きます。 また就業規則の作成などをお考えの際は、当社と連携のある社会保険労務士にて作成相談を賜らせて頂きますので、何なりとお声がけください。 株式会社YourLink 代表取締役 山崎 雄一